あれから7年―――。

俺達はアメリカに渡り、アメリカでも有数の資産家、母方の祖父ジェイコブ・ヘイワーズに引き取られた。


ふさふさの白鬚に白髪の見た目サンタクロースもどきのじいさんは、なぜ母さんがこの家を出てアイルランドに渡ったのか、教えてはくれなかった。


不愛想で、口数の少ないこのじいさんが唯一口を開いたのは、俺達兄妹を引き取るための条件とやらを俺に言った時くらいなもんだ。



じいさんの出す条件に、一瞬、怯んだ。



だが、俺は全て飲んだ。



アリシアを幸せにするためなら、毒だって何だってあおってやる。




俺の右腕にある父さんの腕時計をじっと見つめる。

あれからこいつは遅くなったり速くなったりしながらも、俺達兄妹の時間を刻んできた。



そしてそれは、俺とアリシア、そして俺の友人ヒューバート・キンケイドの3人でこれから出掛ける予定のピクニックも、その例外ではないはずだ。




カチカチ……カチ、カチカチ、カチ、カチカチカチカチ




不規則ながら何とか動く秒針の音は、


「お前の楽しい未来を諦めるな!何か手があるはずだ!」


と言わんばかりに力強く刻んでいく。