徐々に近づいてくる道端。


───とん



とうとう扉と道端に挟まれてしまった。



「俺には強気な顔しか見せないのに、アイツにはあんな顔するんだな.....」


顔が近い。


これ以上近づくな!



さっきとは違う色っぽい顔に戸惑う。


「優樹菜。」


「.....っ」


私の名前.....


私を色っぽく、でも挑発するような目で見据える。


甘く呼ばれた名前に胸がドキドキと音を立てる。



こんな奴に、ドキドキなんてしたくないのに!



「あんな奴より、俺の方がいいと思うけど?」


「......お断りしますっ!!」



私は大声でそう言うと、道端の肩を思い切り押し、その場から立ち去った。