【完】俺に惚れとけよ。







「本当に嬉しかったんだよ。俺が、優樹菜のファーストキスを奪えたこと。」


「え......」


「俺が修学旅行のあの夜、キスする前に言った言葉、分かるか?」


と、甘く言った夏樹。


私は頷くことも、首を横に振ることもできなかった。


キスする前の言葉.....


頭に浮かぶ、ある二文字。



「好き。」


「な、つき.....」


「俺は、優樹菜が好き。」



今度は、しっかり頭に響いた“好き”の言葉。


心にあったモヤモヤが、いっきにスーッと消えた気がした。



「好きな人のファーストキスをもらえたんだ。そりゃ、嬉しいだろ?」


と、私の頭に手を置いた夏樹。


「ひどいことたくさんしといて、今更って自分でも思うけど。もう、嘘はつけねぇ。」


「夏樹.....」


ドキドキと胸がうるさい。


2度目の“好き”は、とても優しくて、夏樹の本気の目が私の瞳を貫く。


「俺の、彼女になって.....?」


“彼女”


いつも曖昧だった夏樹。

ほしい言葉を聞かせてくれなかった。


でも、今はっきりとした夏樹の気持ち。