しかし夏樹は何も言わずに、教室から出ていった。
「.......何よ、あいつ。」
意味不明な行動。
星夜くんのこと、嫌っていた。
少なくとも、いい風には思っていなかったはず。
そんな人に、わざわざ自分から教科書を貸すだろうか。
「と、りあえず、借りてくわ。」
と、夏樹が渡した教科書を持って行った星夜くん。
ぽかーんとする私。
「とりあえず、行くよ。」
「う、うん....」
煮え切らないまま、私は教室を出た。
その日のお昼休みのこと。
再び星夜くんが教室を訪れた。
教室は興奮状態。
特に女の子たちが。
キョロキョロしてから、歩き出す。
「優樹菜ちゃん。なつ......道端くんは?」
ん?なつ.....?
「え、あ......いない、ね。」
教室を見渡したが夏樹の姿が見えない。
「これ、返しに来たんだけど....」
と、午前中に借りた古典の教科書。
「いないなら、優樹菜ちゃん返しておいてくれる?」
「え?」
「ちょっと今急ぎの用で!ごめんね!」
「あ......」
行ってしまった。
助けてほしいと、桃乃に目線を送るが、
「頑張れ~。」
と、お弁当を食べながらそういわれた。

