彼は、あの頃と変わらない笑顔でさらに言う。

「だけど、どうしてそう思うの?俺が君に会いたくないだなんて」

「だ、だって」

笑みが彼の顔から消える。
まるで追い詰めるような眼光。


「言い訳はしないよ。君にはひどいことをしたと思ってる。だけど、あれには事情があって」

拓哉が話し始めた内容に身体がビクッと反応する。

「聞きたくないわ。そんな話。もう私に構わないで」

私は彼から目を逸らすと、この場を離れようと向きを変えた。

「また逃げるの?あのときも君はそうだったね」

「その話はしないで!」

自分の声の大きさに自分で驚いた。
当たり障りなく、これまで冷静に過ごしてきた日々が嘘であるかのように、心の奥から感情が湧き出てくる。
まるで拓哉が私の気持ちをコントロールしているかのよう。