「で、本題なんだけど、所長と相談の結果、わが販売グループ内におけるそれぞれの担当区域、店舗を、大幅に変更しちゃおうと思います。」


なるほど。

重大とまでは行かないかもしれないけど、確かにとても大事な議題。

主任の言うことも、たまには信じてあげよう。


「ただ、一気に変えちゃうと混乱を招くと思われるので、ベースは崩さない。境界線を多少ずらして、ある程度、担当店舗数を揃えてみようかと。」

「全業態でですか?」

「いや、訪問回数が少なくて済む小型ドラッグは、拘らなくていいと思うんだよね。でも、大規模なフェア組んでくれるGMSとかには、やっぱり回数通わなくちゃいけないから、 負担を分担してもらおうかななんて。」


主任の話し方はいつもこんな感じで、どこかユルくて柔らかい。

それを本部のお偉いさん方がどう思うかわからないけど、部下からすると、聞きやすいし、受け入れやすい。


だから、深刻な話をされても抵抗なくスルっと入って来る。

つまんないオヤジギャグで周囲を凍りつかせることもあるけど、取り引き先のパートのオバちゃんたちの絶大な支持を得て飛躍的に売り上げを伸ばし、若くして出世しただけのことはあると思う。