だからって、そこに須賀くんは関係ないでしょ。

須賀くんと私は付き合っている訳じゃないし、彼の気持ちは陽奈さんにある。

須賀くんを責めるのはお門違いだよ。


なのに、なんで匡史はそんなに挑発的な態度を取るの?

須賀くんとはただの同僚だし、ちょっと特殊な関係とは言え、私が勝手に想いを寄せてるだけだもん。

仲が良いねとはよく言われるけど、それ以上でも以下でもないし。

同性だったら普通に親友になれたんだろうけど、今は悲しいくらいの片思いの相手だよ。


って言うか、須賀くんの態度もわからない。

どうして否定しないの?

「わかった」って、何?


一方的に、しかも、勘違いで宣戦布告されたのに、否定もせずに受けちゃうの?

匡史と戦う気なんてないくせに、そんなのっておかしくない?


「何かごめんね。驚かせて。」

「ううん.......。」

「話、変えよっか。あいつ、そろそろ戻って来るだろうし。」

「そうだね。」


ストック用の棚の陰に隠れてコソコソ聞いている私の気も知らないで、二人の会話は続いて行く。

まるで、何事もなかったかのように。

何かあってもこうやって丸く収めちゃうところが、男の子同士の友情なのかな。


そんな二人を少し微笑ましく思いながらも、話に加わるタイミングに悩む。

さっきの二人の会話が、どうしても耳から離れないから。