「起立、礼」


あ。やばい。
また寝てた。
授業終わりの号令、あたしの仕事なのに。
ここ最近、寝すぎてほとんどの号令をヤヨにさせてるね。



「わかった。始まりの号令をあたしがやろうか」


「いいから。起きる努力を頑張って」



呆れてる。


「はー…」


ヤヨ、今日はなんかため息の回数が多い。幸がどんどん薄くなっていくよ?




「もしかしてヤヨ具合悪いの?」



ヤヨの顔を覗き込んだ。



「近ぇわ」



バッとそっぽを向く、そんな場合じゃないよヤヨ。



「顔赤いよ。熱は?」



額に手を当てると、
あたし的感覚で40度!


ばしんってすぐに手を振り払われたけど。
いつもより勢いが3割減。


「ちょっとヤヨ熱すぎるよ。保健室行こ」


「平気だから」


「だめ。あったかくして行こ?」



あたしのひざ掛けでヤヨの上半身をぐるぐる巻きにして、保健室へ向かう。




ヤヨ、本当にしんどいみたい。



支えてないとふらっふらだし。



この毛布ぐるぐる巻きの格好に抵抗しないんだもん。
いいのかな、オブジェみたいだよ。



通りすがりのヤヨファンも「え?」って顔して見送っていくよね。