「まぁね。でも、こんないっぺんに降らないで、少しずつ降ればいいのに」

 誰ともなく愚痴るように言って、蓮はカバンから小さな小壜を取り出した。

 透明のそれの中には、色とりどりの小さな粒が入っている。

 コルク栓を抜いて、手の平に出したそれを口の中へ放り込むと、蓮は満足げに微笑んだ。

「いる?」

「…貰う」

 チョコレートや飴といった、甘いものが好きなこの少女は、いつも何かしらそう言ったものを持ち歩いている。

 殊に、最近は金米糖がお気に入りらしい。

 桃色、黄色、白に紫。

 一つずつ食べ比べて、味の差異を確かめようと思うのだが、大抵、よく判らぬうちに口の中で溶けてしまう。

 カリ、と要は小さな砂糖菓子を噛み砕いた。