彼女を強く抱き締めては、 "僕のものになれ" そんな夢みたいなことを馬鹿みたいに願う。 そして、僕もいつの間にか瞼を閉じていて。 目を覚ますと、そこに彼女は、いなくて。 まるで、彼女自体が幻なんじゃないかと思ってしまう。 けれど、確かに香る彼女の匂いに、僕は、少しだけ安心して、それから堪らなく泣きたくなる。