修羅は戯れに拳を振るう

背負い投げと違い、体の前面から地面に叩き付けられる修羅。

顔を打ち、鼻から血が滴り落ちる。

「立て!」

龍宇は尚も吠える。

「病院送りにされたあのプロレスラーや、痛めつけられた莉々の苦しみはそんなものではない。立て!」

「っ…」

ゆっくりと、ゆっくりと立ち上がる修羅。

そんな彼に。

「おぉぉおおぉぉおぉおっ!」

龍宇の人越拳ねじり貫手!

修羅の強靱な肉体は貫通こそされなかったものの、龍宇の貫手を食い込まされて大きく吹き飛ばされる!

決まった。

完全に一本取れるほどに見事に入った。

修羅のダメージは相当なものの筈。

しかし。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

意外な事に、激しく呼吸を乱すのは修羅ではなく、寧ろ龍宇の方だった。