『和ーっ!ちょっと来てー!』 和也と廊下で部活の話をしているとき、廊下の向こう側から和也を呼ぶ声が聞こえた。 『あ、澪』 それが、葉山の声。ソプラノの、聞き取りやすい声だった。 『悪りぃ、千歳。この話また今度な』 『ん』 俺との話を切り上げ、自分を呼ぶ葉山の方へと行ってしまう和也。 和也が女友達の声でこうも反応するのを初めて見たから、よっぽど葉山とは仲が良いんだろう。 そんなことを思いながら呑気にその後ろ姿を見送り、俺は俺でもうやることもなく、教室に戻ろうと足を動かした。