「ね、ねぇ……っ」 「ん?どした、香織」 いまだ並ぶ列の中、水瀬が唐突に声を上げた。 「さっき思ったんだけど……。佐久間くんって、澪南のことよくわかってるよね」 「え?澪のこと?」 「う、うん……」 水瀬の弱気な声に、あ、と思う。 こいつも、嫉妬か。 苛立ってる俺とは違うだろうが、さっきの光景が頭から離れないのは俺だけではないらしい。