そうだったんだ…。




混血とはいえ、ゼロは普通の魔法使いと同じように魔法を使っていたから

あまり人間の血が足を引っ張ってないのかと思っていたけど




それは、ゼロが並大抵ではない魔力でそのハンデをカバーしていたからだったんだ。





「混血になったことで魔力が消えてしまうヤツもいるんだが、あいつは特殊な血を引いてるだろ?

魔力だって、親父に負けないか、それを超えるぐらいのものを持っている。


……ある意味奇跡みたいなもんさ。」






ジンは静かに続ける。




「体力を倍に使う上に、今は魔力を制限されてる少年の姿ときちゃあ…。


ぶっ倒れるのも無理ないね。」




ゼロ……。大丈夫かな…。


急に心配になってくる。





そういえば、この町に来る途中、森を魔法で飛んできた時


ゼロは普通ではないぐらい疲れていた。




あれは私のために無理をして魔力を使っていたからなんだ。






私はむくっと起き上がった。


ジンがさっ、と私に手を貸す。




私は、心配そうに私を見るジンに向かって微笑んだ。





「私、ゼロの様子を見てくるわ。ジン、本当にありがとう。」





私につられて、ジンも微笑む。





「今夜は二人でゆっくり休むといい。


マリーさんが、体力が戻るまでは、宿代は無料で泊まっていいと言ってくれたよ。」




そして、ジンは私から少し目を逸らして言った。





「…僕は明日町を出るよ。また会う時まで、またね。フィオネちゃん。」





君は、ゼロの相棒にとてもふさわしいと思うよ。




ジンは優しくそう言った。