その時、コンコン、と扉をノックする音が聞こえた。





「ゼロか?」





ジンが魔力を消して、立ち上がる。




扉を開けると、そこにはマリーさんが立っていた。






「大変なのよ!窓の外を見てちょうだい!」





窓の外?





尋常ではないマリーさんの慌てぶりに、私とジンは急いで窓の外を見る。






「あれは……魔獣?!」






そこには、大きな虎に、ユニコーンのような角の生えたような生き物がいて、町で暴れているのが見えた。





マリーは落ち着きない様子で早口で言う。





「門は閉じたはずなのに、どこからか入り込んできたようなの。

一頭だけなのが不幸中の幸いってところね!」





このまま放って置くわけにはいかない。





ジンの瞳が再び蒼く輝き始めた。






「マリーさん。ゼロを見ませんでしたか?」





ジンの問いかけにマリーはすぐに答える。




「さっき、魔獣の気配を感じて、一人で外に出て行ったわ!


私もゼロ君のおかげで魔獣に気づいて。

あなた達に伝えに来たの!」






ジンはさっさ、と身支度を始める。