「ゼロはグランさんに“預けられた”のさ。

まだ生まれたばかりの頃にね。」






蒼瞳が深みを増す。





「……ゼロの本当の両親はどうしたの?」





私は少し遠慮がちに聞く。





すると、ジンは少しの沈黙の後
ふぅ、と小さく息をはいて話し始めた。





「フィオネちゃんは、先代の国王のことを知っているかい?」





ジンは私の方を見て尋ねる。





そういえば、先代の国王のことは、ジェノバから聞いたことがある。




歴代の国王とは比べものにならないほどの天性の魔力を持ち、この国では、彼の魔力の届かないところがないほどの魔法使いだったけれど




人間の女性と恋に落ち、禁忌を侵したとされて




生まれた子どもと共に国を追放された



“悲恋の王”。






「…その国王と、ゼロに何の関係があるの?」





私はジンに尋ねる。




ジンは、迷いを振り切ったかのように答えた。






「実は、その国王こそが

ゼロの本当の父親なんだよ。」