「今度は薬を盗ってくる!ジェノバは何も心配しないで待ってて!」
そう言うと私は再び扉の方へと向き直った。
一度の盗みから、間を空けずにもう一度盗みを働くのは
町の人々がいつも以上に殺気立っているので、少々のリスクはあった。
───それは、もうすでに体感済みだ。
調子に乗って、すぐ、町に戻った私は
奴隷屋に売られる寸前までいったことがある
それからは、さらに警戒心がつき、盗みもちゃんと計画を立てて行うようになったが
町の人々も、そんな私の計画の裏をかくように、新たな対策をとってくるのだった。
対策としては“番犬をつける”というのが、一番多い方法だった。
この町は、犬も凶暴で、吠えるだけではなく、噛みつかれたこともあった。
ただ、その番犬はお客にも同じ態度をとるので、すぐにいなくなったことが幸いだ。
薬屋は、そんな番犬がいなくなったばかりで、次の対策も考えていない。
狙うには絶好の機会だった。