そんな時、私に手を差し伸べてくれたのはジェノバだった。



子どもをなくしたばかりだったジェノバは私をその子の代わりのように思い、大切に育ててくれた。



その年から十一年が経ち、ジェノバは病気にかかり家から出れなくなってしまった。



そのため、お金が家に入らなくなってしまい、食べるものにも困るようになった。




…今こそ、拾ってくれた恩を返す時だ。



私はジェノバのためだけにこの命を使うと決めたんだ。





私が持っているものといえば、母親譲りの銀色の髪と、足が速いことぐらいだった。




容姿を目当てに、奴隷にしたがる者もいたが、ジェノバが強く反対したのもあり


奴隷として働くことはしなかった。




仕事を探しもしたが、こんな闇町では綺麗な仕事なんて一つもなかった。




だから私は町にある商店や、八百屋から食べ物を盗むようになった。




何よりもジェノバの病気を治してあげたかった。