少し休むと、ゼロは元のように元気を取り戻した。
歩いて行くと、さっき上空から遠くに見えた町が目の前に見えてくる。
私はまるで子どものように目を輝かせた。
私の興奮に気づいたのか、ゼロも少し早足になる。
「町に着いたら、食料とかを確保するか。」
私たちは灰色の壁に囲まれた町の前に来た。
とても高い壁だ。
遠くからでも感じていたが、近くに来るとさらに大きく見える。
あちこちに傷が付いていて、なんだか歴史を感じた。
「ここは、星の町だな。都市から流れ着いた商人もたくさんいるみたいだ。」
ゼロは町の門をくぐりながら言った。
星の町…。
闇町とは違う、活気溢れる町だ。
並んでいるどの店にも、笑顔があふれている。
「うーん、食料を売ってる店はどこだ?フィオネは痩せすぎだしな…肉でも買うか。」
軽すぎだ、とゼロは私に向かって言った。
確かにジェノバと暮らしていた頃は、まともな食事をしていなかった。
私はゼロと並んで歩く。
不思議な感じだ。
すれ違う人々は、表情から幸福感が感じられる。
死んだ目をしている人ばかり見てきたせいか、自分が場違いであるように思えた。
気のせいか、道行く人々も私を見ているような感じがする。



