「どうした?フィオネ。」
ゼロが私の顔を覗き込んで尋ねる。
「な……なんでもないよ。」
ぼっ!と顔が赤くなる。
ゼロとのキスを思い出してたなんて、
死んでも言えない。
ふぅん、とゼロは何か言いたげな目をしたが、すぐに私から目を逸らした。
私とゼロは、再び無言になって歩き続ける。
私は、ちら、とゼロを盗み見た。
今では、私より背の低い少年が隣にいるのが当たり前になっている。
…そっか。
結果がどうなるにせよ、少年のゼロを見るのは今日で最後なんだ。
ちゃんと、目に焼き付けておかなきゃ。
ゼロは、私の視線に気づいているようだったが、口を開くことはなかった。
ゼロの中でも、今日は一番大切な日になるんだもんね。
たとえ、今日が私たちの別れの日だったとしても
ゼロは前を向いて、生きていってね。
私は彼の横顔を眺めながら
心の中で、そう呟いた。



