私は、ばっ、とベッドから降りると


急いでジンの横を通り過ぎて部屋を出た。








さっきまで意識がなかったとはいえ、体はいつも以上に動かせる。





私は宿屋の階段を一気に駆け降りた。






歩くスピードがだんだん速くなって、小走りになる。








私の足は、月の塔に向かって一直線に進んでいった。










この目で確かめるまでは……





それまでは認めることなんて出来ない!








ゼロ………





ゼロ…………!











私が塔の前までやって来ると、そこには、ダリシーンと、ガーディアンの二人が立っていた。








「あ、フィオネ!もう体調は平気……」







私に呼びかけるレオに、こくり、と頷くと



私は三人の横をばっ、と通り過ぎて塔の階段を駆け足で登っていく。









もう、頭の中にはゼロのことしか無かった。