「まぁ、もしもの時は戦うより逃げた方が賢いかもな。
ここにどれぐらいの数の魔獣が生息してるかわからないし…。」
ゼロはコンパスを見ながら樹の合間を縫って進んでいく。
「どれぐらいでこの森を抜けられるの?」
ゼロは、うーん…、と腕組みをして
「まぁ、三日もあれば十分かな」
と、言った。
三日かぁ…。
それを越えればやっと、“次の町”に着ける。
見てみたいな…。
私は、ゼロについて来て良かった、と実感した。
もし、あのまま闇町で暮らしていたら、町の外にこんな森が広がっていたなんて知らなかっただろう。
それにしても…。
ゼロはどうして一人旅をして、闇町なんかに来たんだろう。
相棒を探すなら、都市を探した方が、ふさわしい人がたくさんいるはずだ。
その時、ふと、ゼロの言葉を思い出す。
“俺と旅をする条件…。それは〝孤独〟であることだ。”
その条件を満たす者を探すなら…。
やはり闇町の方が都合がいいのかもしれない。



