ドロシーに、ネックレスを見せると彼女はじっ、とそれを見つめてから私に言った。
「この魔具は、フィオネさん自身の力に反応して、魔力を増大させるもののようですね。」
私の力?
私の魔力ってこと?
そんなもの、あるわけがない。
私は、“人間の父と母”から生まれたはずだ。
「私は魔法使いじゃないわ…。」
すると、ドロシーが優しく言った。
「でも、フィオネさんは、実際に魔法を使えたじゃないですか。」
その言葉に、はっ、とした。
以前、ゼロに魔具は人間にでも使えるのかと聞いたら
“素質があればな”と笑われた記憶がある。
私には“素質”があるのだろうか?
「でも…前に使えた時は、自分の意志で使えたわけじゃないわ…。自分でもどうやったのか、わからないもの。」
あの時は必死で、ゼロとジンが落ちていく姿を見て、“助かれ”って、強く思った。