その時、ぼーん、ぼーん、と
午後の五時を知らせる鐘が鳴った。
窓の外はもう薄暗い。
ついに…この時が来たんだ……。
ブラッドが部屋に集まる魔法使いたちを見回して言った。
「そろそろ町に行こう。定位置に着いて、ルナータの動きを確認するんだ。
……奴は必ず、町のどこかに現れる。」
ジンたちは、その言葉に目を合わせて相づちを打った。
私の手から、するり、と
ゼロの手が離れていく。
私は、引き止めたい気持ちを必死で押し殺す。
そこには、まだ彼の温もりが残っていた。
魔法使いたちは、一人ずつ立ち上がって、部屋の外へと出て行く。
ブラッドは、ドロシーの頭を優しく撫でて「もしもの時は、頼んだぞ。」と言った。
ドロシーは強く頷く。
最後に部屋を出たゼロは、一度も私の方を振り返らなかった。
ゼロ………頑張って……。
私は、心の中でそう強く願いながら、
彼の背中を見送ったのだった。