私は、ベッドから立ち上がると、私を心配そうに見つめるドロシーの方を向いて言った。





「ドロシー、ありがとう。おかげで体調はほとんど良くなったわ。


…そろそろゼロのところに帰るね。」






ずっと一人で寝かせておくのも心配だし。



今は、ゼロの顔を見て安心したい。






ドロシーは、私にネックレスを手渡すと、いつもの冷静な口調で言った。





「フィオネさん。まだこの町にいてくださるのですよね?

…何か変化があったらこちらからまた訪ねます。」





私は、ドロシーの言葉に頷くと、部屋の扉を開けて外へと出た。






外はもうすっかり夜になっている。



冷たい風が、私の頬に当たる。





夜空には、ゼロの髪の毛の色と同じ、黄金の月が輝いていた。






……朔の日までは、私はゼロの“相棒”で居られるのよね。





私は、ふぅ、と小さく息を吐いた。