ゼロは、動揺している様子を見せていたがやがて私をまっすぐと見て言った。









「俺の……相棒で、居てくれるのか?」










その質問に、私は少し黙ってゼロを見た。





ゼロは、静かに私の答えを待っている。



どんな返事でも。受け止める。





そんな意思を感じた。












私は、ゼロに向かって口を開いた。













「……当たり前じゃない。


私はもう、ゼロの隣でしか生きられないもの。あなたのいない幸せよりも、あなたの隣で不幸になることを選ぶわ。」







その言葉を聞いて、ゼロは
はぁ…と、大きく息を吐いた。





それは、“容れ物”がいなくならなかった。と、言う安心からではなく、もっと別のものだったように感じる。






ゼロは、輝きの戻った藍色の瞳で私を見つめた。











そして、あの夜と同じように、私を抱きしめた。













でも、あの夜とは違う。









優しく、壊れ物でも扱うように
私を包んだ。





少年の姿だけど、彼は“ゼロ”だった。