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俺は、ついに宿屋に到着してしまった。
扉を開けると、カウンターにいたカトレアが俺に気づいて声をかけた。
「ゼロ様。姿が見えなかったようですが
どこにいたのですか?
お金をもらっておきながら全然お泊まりにならないので心配していたんですよ?」
すみません、と俺は謝った。
そのまま話し続けると、フィオネの話になりそうだったので、俺はそそくさと宿の階段を登った。
俺とフィオネの泊まっていた部屋の前に来る。
心の準備は出来ているはずだ。
何を迷ってるんだ、俺は。
俺は、ドアノブに手をかけた。
ひねってみると、カチャ、と小さな音がして、扉が開いた。
開いている…。
俺はゆっくりと中に入った。
静かに扉を閉める。
そして、部屋を見渡した。
そこに、フィオネはいなかった。
ベッドを見ると、フィオネのバッグも外套もない。
「……いるわけ…………。ないよな…。」



