一生、ガキの姿のままでいるか?
…それは一番無難で、最悪のパターンだ。
リスクがない代わりに、希望もない。
朔の日に元の姿に戻れるったって
夜の間だけじゃあ意味がない。
…全く意味がないわけじゃないけど…。
結婚もできなければ、ましてや恋なんて。
もともとそこまで興味があるわけじゃないが、俺だってやり残したことぐらいある。
この姿でフィオネに迫ってみたって
あのザマだ。
ふと、フィオネと別れる前夜のことを思い出す。
あぁ…。なんで俺はあんなことをしてしまったんだろう。
別れをあの姿で言いたかったのはせめてもの俺の“プライド”だったが、
フィオネの顔を見た瞬間、理性が崩れてしまった。
今考えてみれば、口で“行くな”と言えなかったから、無理矢理フィオネを抱きしめてしまったんだ。
“行くな”、と、触れた先から伝わればいい。
そう思ってしまった。
「馬鹿だな……。俺は……。」
俺は、ぽつり、と呟いた。



