すると、ジンは苦笑しながら答える。



「以前、ここを旅した時の知り合いの娘さんさ。

その家系は代々塔の守護をしていてね、
今はその娘さんが守護者なんだ」




「また女かよ。」とゼロは毒突く。




私は、歩きながらその“女性”について考える。




塔の守護者なんて、かっこいいな…。




どんな人なんだろう?




ジンは、「とっても可愛い子だよ。」と
続ける。




…ジンは無意識のうちに知り合いをたくさん作ってしまうような人柄だ。


特に、その大半は女性なのだろう。




「ほら、見えてきたよ。“月の塔”が…」




路地を抜けて、目の前を見ると

大きな灰色の塔がずぅん、とそびえ立っている。




宿屋から見た塔とはまったく違う迫力だ。



「入ろうか。てっぺんまで登るんだろう?僕が守護者のところまで案内しよう。」



ジンは、そう言うと
ゆっくりと塔の重い扉を開けたのだった。