私が驚いて見ていると、肉の塊はみるみるうちに、美味しそうなステーキへと変わった。



塩と胡椒で味つけされた肉は、とてもいい色に焼きあがっていて

空腹の私たちの食欲を刺激するいい匂いがする。




「うん、完成っと。魔法って便利だね〜」



ジンが、にこっと笑いながらそう言った。



「貰い物って、その包み、さっきお前が話してた女に渡されてたやつだよな。」




ゼロの言葉に、ジンは、ぴく、と肩を震わせた。





そして、ふぅ、と小さく息を吐いて口を開く。





「…いつから見てたのさ?」





すると、ゼロはさっきの仕返しとでもいうように、ふっ、と笑って答える。




「お前が女に誘われてんのに、カッコつけて断ってたとこから。」





すると、ジンは意味深に笑って


「あぁ、ならいいや。」


と言った。









ん?







ゼロと私は無言でジンを見つめる。



今のはどういうことだ?


ジンはゼロ以上に謎な男だ。