ゼロは私が動揺していることに気づくと、ゆっくり私の方を見た。
「フィオネ…どうした?」
ゼロが私に尋ねる。
その瞬間、ふっ、とネックレスの光が消えた。
私はゼロに向かって答える。
「ラグナからもらったネックレスが、
今反応したの!とても温かくなって…。」
すると、私の言葉にゼロは
「じゃあ、フィオネにも魔法使いの素質があるのかもな。」
と言って少し笑った。
その顔は、子どもの嘘にわざと乗って、
楽しんでいるような感じで
私が魔法を使えるかもしれない、ということを信じていない様子だったが
私は確かに、一瞬、私を取り巻く何かが
変わったことを感じていた。
その時、部屋の扉が開いた。
「さ、夕飯にしようか。これは貰い物なんだけど、新鮮らしいよ。」
ジンは、大きな肉の塊を持ってくると、
どん、とテーブルの上に置いた。
すると、そのまま蒼瞳を輝かせて、
キッチン用具を魔法でどんどん動かしていく。