ソリは、ゆっくり旋回しながら下降する。



エドウィンが手綱を操ると、ぐるる、とドラゴン達が小さく唸った。



町の周りは、長い丸太でできた柵に覆われていて、門もある。




私たちを乗せたソリは、すぅ、とその門の前に降り立った。





「ゼロ様、フィオネ様。ここでお別れでございます。


もし、都市にもう一度寄ることがありましたら、ぜひ、このエドウィンに一報を。
すぐに飛んでお迎えに参りますので!」





エドウィンは、少し涙目で私たちを見た。


声も少しかすれている。





まるで、今生の別れだ。





「エド、世話になったな。
…ダリシーンにも礼を言っておいてくれ」




ゼロの口から、そんな言葉が聞けるなんて

エドウィンも、感慨深い顔をしてゼロを見ている。





「エド、ありがとう。また会えるといいわね。」




私も、エドウィンの顔を見て言った。




エドウィンはにっこりと笑って頷くと、
再びソリに魔力をかけ始めた。



ドラゴン達がゆっくりと動き出す。





「それでは、良い旅を!」





小さなガーディアンは、そう言い残すと
月の輝く夜空へと消えていった。