「ゼロ…。また都市に戻ってくる気は
あるの?」
ゼロはピクリ、と肩を震わせた。
ゼロの旅の目的は、最果ての丘に行って
“自分を取り戻す”ことだと聞いている。
てっきり、それが終わったら都市に戻ってくるものだと思っていたけど…
私は、黙ってしまったゼロを見た。
「…旅を終えて帰って来たとしても、もうグランの世話にはなれないと思ってる。
…今は、まだ何も言えない。
俺は、今、未来が想像できずにいるから」
ゼロの言葉に、ラグナは真剣な顔つきで彼を見つめた。
少し、悲しそうな瞳にも見える。
「戻ってこないってことは、国中をまわる流浪人になる可能性もあるってことっすか?」
ジェフがゼロに尋ねた。
ゼロは、「…かもな。」と視線を落として答える。
ラグナは、ふぅ、と小さく息を吐いた。
「もしも、ここに戻って来て、住むところが無いなら…この店に無期限で住まわせてあげるわよ。」
その言葉を聞いた瞬間、ガダダンっ!
と、カウンターから大きな音がした。
ジェフが大きく動揺している。
「えっ、ラグナ…今のプロポーズ?」



