私は大急ぎで部屋を出て、隣の部屋へと向かった。
扉を開けると、そこにはダリシーンとゼロがいた。
「フィオネ!大丈夫なのか?」
ゼロが、私の方を見て言った。
ダリシーンも、私の方を見る。
……まだ殺してないみたいね。
私は、ほっとして息を吐いた。
ゆっくりと歩いてゼロの隣に並ぶ。
「…フィオネ。心配しなくても、
俺はダリシーンに何もしないよ。」
私の心中を察してか、ゼロが静かに言う。
すると、ダリシーンが私の方を見て言った。
「……フィオネと言ったな。
城下町で会った時は、すまなかった。」
……!
ダリシーンは、低い声でそのまま続ける。
「私は、ゼロのことをよく思ってはいなかったのだ。
……なんせ、もう少しで、国が崩壊するほどの事件を起こした王を想起してしまったからな。」
私は少し驚いて声が出せない。
…ダリシーンが、謝っている。
ダリシーンはゼロの方を見て言った。
「…お前にも、勝手に、謀反をするだろうと決めつけて、魔法をかけたこと…。
すまないと思っている。
ただ、あの時は私も国をまとめようと必死だったのだ。」
ダリシーンは静かに続けた。