町を抜けると少年はパチン、と指を鳴らした。



その途端、止まっていたものがいつも通りの時を刻みだす。




この少年…何者なんだろう。




町には魔法使いがいないはずだからここに流れ着いた流浪人だろうけど




「なんだよ」




ちらちら見ていると少年がこちらを見て言った。




「あの…一人で旅をしているの?親は?」



私の言葉を聞いて少年は目を合わせずに言った。




「俺のことガキだと思ってるんだろうけど、多分俺はお前より年上だぞ」




「えっ!」




私が驚いて彼を見ると、
少年は少しの沈黙の後、口を開く。




「……タチの悪い魔法をかけられたんだ。月が出ない朔の日だけは元にもどる。」




私は、じっと、考えてから、彼に尋ねた。




「若返りの魔法…?」



「そんなんじゃねぇよ」




即座に否定の言葉が飛んできた。

少しムッとしているように思える。