ゼロはずんずんと、進んでいく。
私はついて行くのに精一杯だ。
都市の近くは、国王の魔力のおかげで
魔獣が寄ってこないらしいから
それだけが救いだ。
「お、見えてきた。あれを越えれば都市だぞ、フィオネ。」
ゼロの声に、私は前方を見る。
「えぇ!う…嘘?これをどうやって越えるの??」
私の目の前には断崖絶壁が広がっていた。
向こうの土地が少し遠くに見える。
「じゃあ、先飛ぶからな。後から来いよ。」
ゼロが助走を取り始める。
え?え??嘘でしょう?
こんなの飛べたら人間じゃないよ。
私が焦っていると、ゼロが
ふっ、と吹き出した。
「嘘だよ。本当、フィオネは騙されやすいよな。
背中に乗れよ、魔法で飛んで行こう。」
ゼロが吹き出して素直に笑ったところは初めて見た。
……でも、少しけなされたような…。
私は少し疑問を抱えつつ、ゼロにおぶさる。
「行くぞ、フィオネ。」
ゼロは瞳を輝かせ始めて、強く大地を蹴った。
ふわっ、と体が宙に浮いて
反対側の崖に向かって飛び始める。
少年ゼロの背中は、前にも乗ったことがあるが、乗っていて、なんだか申し訳なくなってくる。



