~a pair~


いつもと同じ席、

いつもと同じ紅茶。

いつもと違うのは俺の気持ちだけ。

「....マスター。」

「あ?」

「マスターって、この辺の路上出てる奴

結構知ってるよな。」

「あぁ、まぁな。ここには

人が集まるから勝手に話が入る。」

確かにこの店は、見渡せば

楽器を持った人や団体が多い。



「....歌えないギターの子、知ってる...?」

俺は今日

聞こうと考えていた言葉を口にした。

「あぁ、あの子か...」

「知ってんだ。」

「なに?気でもあんのか?」

からかうように、

マスターはニヤニヤ俺を見る。

「ちっ、ちげぇよ!!

昨日たまたま会ったんだよ!!」

慌てて言い繕う。

誤解だ!.....多分