「神田くんにはちゃんと伝えたの？付き合えないって」
と聞いてみると、美穂ちゃんは神妙な面持ちでコクンとうなずいた。
「はい。伝えました。好きな人がいるからって」
「それでも諦めないとか言ってるの？」
「……そうなんです……」
シュンと肩を落とす彼女の姿は、私にはなんだかちょっと羨ましく見えた。
断っても諦められないほど愛されてるって、けっこう素敵なことなんじゃないのかな～なんて。
まぁもちろん自分が同じ立場だったらそうは思えないかもしれないけど。
独り身の私としては羨ましかった。
「美穂ちゃんの好きな人ってさぁ、そんなに魅力的な人なの？」
もはや会ってみたいわ、と思いながら聞いてみると、美穂ちゃんは目を輝かせて何度もうなずいて、そして最高に可愛い笑顔を全開にした。
「それはもう！誰だって２番目でもいいって思っちゃいますよ！！」
「２番目ねぇ……」
無理無理。
私、そういうの絶対無理だから。
２番目とかどんなに好きでも嫌だから。
そんな心の声は言えるはずもないので黙っておいたけど。
「あの、それで……大野さんにこの話をしたのは、お願いがあるからなんですけど……聞いてくれますか？」
ふと顔を上げて、美穂ちゃんが私を見つめてきた。
私はなんだろう？と首をかしげる。
「お願い？」
「はい！」
彼女のお願い……。
それはかなりビックリすることだった。
