倉庫の鍵を守衛室で借りて、今現在の時刻と自分の名前を書いて。
守衛のナイスミドル田中さんに0円スマイルを届けてから倉庫へ。
鍵を開けてドアを開き、倉庫内の電気をつけて奥へ進んだ。
そういえばしばらくこの倉庫には来ていなかったな。
最後に来たのは二年前くらいか?
なんとなく、記憶よりも棚とパイプラックが増えてるような……。
私が持っているような伝票は、集計後いつもベテランの真野さんに最終チェックをしてもらう。
でも、今週の月曜日から真野さんは仕事を1週間休むと連絡が入った。
身内に不幸があったらしい。
それで、彼女が代理として急きょ事務課のリーダーに指名したのが須和だったのだ。
なぜヤツを指名したのかは不明だけど……。
そのおかげで、最終チェックをしたカメ男にミスを指摘されたということだった。
倉庫内の所定の位置に2つ使い古された脚立が置いてあって、そのうちの高くて大きい方を肩に担いで伝票置き場へ進む。
伝票は年度ごとに分けてしまってある。
久しぶりに訪れた倉庫の中で、しばらく棚とパイプラックの間をウロウロした。
やっと見つけた目的の棚。
1番上に伝票入れが置いてあって、それを見てピンと来た。
ははぁ、なるほど。
1番上にあるからカメ男が「大野じゃ届かない」なんて言ったわけね。
アホか!脚立使えば問題ないでしょうが!
狭い棚と棚の間を通って、担いでいた脚立を下ろして開く。
開…く。
開…………かない?
開けない!?
脚立が錆び付いて開かない!!
なんじゃそりゃ!
「オンボロ!」と文句を言いながら脚立置き場へ戻る。
だかしかし、そこでハッと気がつく。
残っているもうひとつの脚立は背が低い2段のもの。
これでは到底、棚の1番上には手が届きそうにもなかった。



