ウサギとカメの物語



それからの私は、休みの日曜日を挟んで29日まで至極真面目に働いた。


岩沼支店には20代の男性社員がほとんどいなくて。
いるとしても営業課に1人。しかも既婚者。
で、やけに中年ウケがいい私は、無駄にチヤホヤされて。
なんだかいい気分で仕事が出来た。


本社のある場所から見ると田舎なんだけど、その分みんな人当たりが良くて優しくて、またヘルプに来てもいいなぁって思うくらい。


遊佐さんと鳥谷部さんも、「大野さん、またヘルプに来てよ〜」とかなんとか言ってくれたりなんかするから嬉しくなった。







29日の最終日。


定時にきっかり仕事を終えた私に、遊佐さんと鳥谷部さんからプレゼントをもらった。


「短い間だったけど、ありがとう。本当に助かりました!これ、少ないけどお礼だよ」


と、くれたのは細長い長方形の箱に入ったマカロンの詰め合わせだった。


まさかこんな一週間弱のヘルプで、こんなものまでもらえるなんて驚いてしまった。
そして、本気で異動してもいいなぁ、ってますます魅力を感じるのだった。
自分で言うのもなんだけど現金な性格だよね、ほんとに。


帰りの駅のホームで小腹が空いたので、5つ入りのマカロンの中からひとつを早速頂いた。
味は、フランボワーズ。
甘酸っぱくて、なんだか身に染みた。