午後になると、予想通り腫れ上がっていた瞼は元通りになり、無事に通常の私の顔を岩沼支店の皆様にお披露目することが出来た。
特に遊佐さんは私の顔を二度見して、「あれ!?」と目を丸くしているから面白かった。
「なんか顔が変わったような気がするけど、気のせい?」
「気のせいじゃないですよ〜」
だからって整形したわけじゃないけどね。
あはは、と笑う私に、冗談めかして遊佐さんはボールペンの先を向けてくる。
「ちょっとちょっと〜。まさか昨日振られて泣いて目が腫れちゃった、とかじゃないよね?」
「はい、その通りです」
「ええええ!?」
本当に軽いジョークのつもりだったんだろう。
遊佐さんは「しまった!」という顔をして、腫れ物でも扱うかのように私をおそるおそる見つめてきた。
その様子に鳥谷部さんが見兼ねて声をかけてくる。
「こーら、遊佐くん!女性のデリケートな話をわざわざ振るんじゃないよ!」
「そ、そんなつもりじゃないですよぉ」
「大野さんはまだ若いんだから、人生山あり谷ありっていうのを体感してるところなのよ。ねぇ、大野さん?」
「あはは、そうですよね」
困り果てる遊佐さんとは対照的に、貫禄ある微笑みを私に向けてくる鳥谷部さん。
彼女にそう言われると、確かに恋愛において今の私は、ちょうど谷の部分なのかなって妙に納得した。
散々今までもたくさん恋愛はしてきたけど、毎回思うのは「恋愛って難しい」ってこと。
両想いってどうやったらなるんだっけ?という根本的なところが既に分からなくなってしまった。



