帰りの電車の中で私は1人、今日目撃した2人のことを思い出していた。
美穂ちゃんはあれで幸せなのかな、って。
彼女は20歳で課長は33歳。
年の差が13歳もあるから、課長も最初は断ったんだろうな。
それでもいい、2番目でもいいからって美穂ちゃんに言われて、それならいいか、って感じで手を出したとか?
なんにせよ、課長はどうしてそんなに見境なく女の子をカモにするのか疑問なんだけど。
美人だけじゃなくて、私みたいな平凡な女まで相手にしちゃってさ。
そういや私、熊谷課長本人に「平凡な子」って言われたんだっけ。
悪かったな、平凡で!
どうせ平凡ですよ!
平凡の何が悪いのよ!
考えているうちにイラッとしてきてしまって、ブンブンと首を振って煩悩を追い払った。
神田くんはこのことを知っているのかな。
美穂ちゃんが課長のことを好きだっていうこと。
美穂ちゃんに頼まれた、神田くんへ伝えなければならないこと。
伝えるのは止めようって思っていたけど、違うことを伝えよう。
美穂ちゃんを止められるのは神田くんしかいない。
そう、神田くんが頑張れば美穂ちゃんは正気に戻るかもしれない。
そしていつか彼を好きになれば、普通の幸せな恋愛が出来るんだ!
押せ!神田!
やるっきゃないぞ、神田!
なぜか私の頭の中は神田くんを応援する気持ちでいっぱいになりながら、流れゆく電車の外の風景を眺めていた。



