「コズが言ったんでしょ、今年中にケリつけろって。だからクリスマスに思い切って告白するんだ!」
どこでどんな風に告白する予定なのかは分からないけれど、きっと彼女の中で意思が固まったのだろう。
私からしてみれば田嶋は確実に奈々のことが好きなのだから、そこまで気負うこともないと思うのだけれど。
それでも3年続いた彼女たちの曖昧な関係にようやく終止符が打たれるかと思うと、親友としては非常に喜ばしいことでもある。
奈々は悩みに悩み抜いて、私がすすめた下着のセットのブラックを購入。
正味1時間ほどの買い物は終了した。
同じ下着屋の袋をぶら下げながらアーケード街を歩いて駅に向かう。
そこでふと途中で奈々が足を止めた。
「ん?どうした?」
あまりに突然立ち止まったから何かあったのかと思って彼女に尋ねると、奈々はどこか一点を見つめて動かない。
私を手招きしつつも、その一点を見つめたままだ。
「コズ。あれって熊谷課長だよねぇ?」
熊谷課長、という名前に思わず敏感に反応してしまった。
「どれどれ?」ってやや気後れしながら奈々の視線をたどると、私たちのいる場所から離れたところに、確かに熊谷課長らしき背の高い男の人が歩いているのが見えた。
時折見える横顔が、本人だとすぐに教えてくれるようだった。
そして、彼の傍らには明るいブラウンのロングヘアの女の子の姿。
あー、あー、また会社の女の子に手を出してるんじゃなかろうね。
おおかた美人揃いの秘書課のお姉さんの中の1人でしょうけど。
若干冷めた目で課長と彼女を見ていたら、不意に彼女の方が長い髪を耳にかける。
そのおかげで彼女の顔がハッキリと見えた。
私と奈々はほとんど同時に同じ言葉を発していた。
「美穂ちゃん……」



