きっとこれは、お姫様抱っこというやつだ。 お姫様抱っこなんて小学生の時に大翔や沙耶とふざけてやった時以来。 「おねぇちゃん、大丈夫?」 心配そうな瞳を揺らして、男の子が駆け寄って来てくれた。 「う、うん…………あっ、風船!」 九条くんにお姫様抱っこをされたまま、腕を伸ばして男の子に風船を手渡す。 「ありがとうおねぇちゃん!またね」 「あっ、うん」 「風船貰ったら私は用無しかいっ!」なんて叫びたくなるほど、あの子あっさり公園を出て行ってしまった。 まぁ、喜んでくれたからいいけど。