僕等はまだ恋を知らない







「先生、まだ来てなくてよかったな」



「う、うん……」




完全に遅刻で教室に入ったけど、幸い先生がまだ来ていなかった。




前の席に座る大翔が「寝坊するの何回目だよ」と笑ってくる。



そんな大翔に反論の言葉を言う気にもなれず、机に突っ伏した。




朝から無駄に疲れた……………。




「走って疲れたんだね」



顔は見えないけど、確実に沙耶の声だ。




大翔の隣。


つまり私の斜め前が沙耶の座席。




私たち幼なじみはクラスだけでなく、席まで一緒。



窓側の後ろのゾーンが私たちだ。