だから、私はーーーー………。 「沙耶ちゃん、ぼーっとしてどうした?」 「へっ!?」 手に持っていたタオルがスルリと地面へ沈んだ。 声を掛けられたのは、同じクラスの陸上部員。 「な、なんでもないよっ!」 急いで落ちたタオルを拾うその姿は、きっと変に見えただろう。 大翔くんのこと考えてたなんて、言えるわけない。