ゴクリを唾を飲み込んで、大翔の口元だけに意識を向けた。 「今は誰とも付き合う気ないんだ」とか「陸上が恋人だから」とでも言うんだろうか。 大翔は今まで誰とも付き合ったことはない。 きっと、今回も“そう”なのかな? 「………ごめん。俺、好きな子がいるんだ」 え…………? まるでブレーカーが落ちたみたいに、私の目の前が急に真っ暗になった。