ホールの掃除をしながら、今朝のことを思い出していた。

夢じゃない……夢。

夢みたいなリアル……。


朝目覚めたとき――

自分がどこにいるのか、すぐにはわからなかった。

ここはどこ?状態。

知らない部屋……。
ベッド……。

ハッ! ソファだったやつだ。

瞬時に昨夜の記憶が蘇った。


しまった!


ガバッと起きあがるわたしの体には、タオルケットがかけられたあった。


おそるおそるそれをめくると……

ガーン!

着衣の乱れ、ナシ。


2本目のアクション映画を見終わったら、押し倒すとか倒されるとか、そんな話をしていたのに。

『覚悟しといてください』

なんて桂木さんに言われて、ドキドキときめいていたはずだったのに……。

ま、まさかの寝落ち……!?


自分のしでかしたミスに動揺して、よろよろと立ちあがったとき、やっとコーヒーのいい香りに気がついた。

キッチンで桂木さんがコーヒーを沸かしてくれている。

フラフラと近づいていくと、彼がこっちを向いた。