車を降りると、バカみたいに降る雨に舌打ちをした。

雨って好きじゃない。

色んな予定を変更してしまう力があるからだ。

お陰で今日の仕事も早く終わってしまった。

早く帰れるのは嬉しいが、その分後々のスケジュールに食い込んで来る。

結局パンパンに膨れ上がるスケジュールに吐気がする事になる。

それが一番厄介なんだ。

「じゃ明日8時に迎えに来るから。」

「あぁわかった。」

「じゃあね。お疲れ。」

「うん。お疲れ様。」

俺はマンションまでの道を走った。

ん?誰か居る?女か…。

まさか、マンションを知られた…。

いや、この雨だ…ただの雨宿りかもしれない。

俺は警戒しながらマンションに入ろうとしたけど、座っている子はやけに震えてる。

でも、もしかしたらストーカーかも?新手の追っかけか?

「あの…。」

ほら、やっぱり来た!!

「…携帯貸してもらえませんか?」

道に迷った?携帯落とした?胡散臭い理由並べやがって…。

なんだこの女…関わらない方がいい。

無視して行こうかとも思ったけど、女は必死にしがみついてきた。

帽子が落ちて顔を見られた。

これは完璧にマズイ。

いや、マズくない…なんだか初めてのリアクション。

知らないかと聞いたら会った事はないと言う。

思いもよらない返答に頭が混乱しそうになる。

なんだこれは何かのドッキリ?

それともやっぱり新手の追っかけ??

ヤバイ…これは本気で頭が混乱しそうだ。

戸惑ってる俺をさらに女は窮地に追い込んだ。

目の前で倒れるなんて嘘だろ…。

はぁ仕方がない…こんなところで死なれたら迷惑だ。

俺は女を抱きかかえた。

思ったより軽い。

それよりも、凄く熱い。

こりゃかなりの熱だな…。

なんて無防備な顔…得たいの知れない男の前で気を失うなんて、何されても文句言えないぞ。

って何考えてんだ。俺は女に不自由はしてないだろ!?

それに、どこにでも居る様な顔の女を俺が相手になんてするわけない。

とりあえず寝かしてやるしかないよな。

俺は女を部屋に入れた。

部屋に初めて入れる女が、正体不明の女…笑えるな。