薫は慌ててスマホを手に取り、志信に電話を掛けた。
何度目かで呼び出し音が途切れ、ほんの少しの無音状態の後、いつもより低い志信の声が聞こえた。
「…もしもし。」
「志信、ごめんね。」
「…起きたの?」
「うん、今さっき。」
「そう…。ずっと忙しかったから疲れてたんだろ。」
「今からでも…。」
今からでも会おうと言いかけた薫の言葉を、志信が遮る。
「もう今日は無理して会わなくていい。明日からまた仕事なんだし。」
感情のないような無機質な志信の声が、薫の耳に冷たく響いた。
「志信、ごめん…。久しぶりに会ったのに、ホントにごめんね…。」
「もういい…。じゃあね。」
薫が返事をする前に、志信は電話を切ってしまった。
薫は呆然とスマホ画面に映る“通話終了”の文字を眺めた。
(志信、ものすごく怒ってた…。怒って当たり前だよね…。)
山手通りSSのヘルプに行っている間、週末も一緒に過ごせず、毎日帰りが遅くてずっと会えなかった。
夕べは久しぶりに会えたのに、ずっと会いたかったと言ってくれた志信を待たせた挙げ句、長い時間ほったらかしにしてしまった。
(またやっちゃった…。)
仕事の事になるとつい必死になりすぎて、その他の事が何も見えなくなってしまう。
今日はもう会わなくていいと志信は言ったけれど、やっぱりこのままでは志信に申し訳ない。
せめて会って直接謝ろうと、薫は急いで身仕度を整えて家を出た。
何度目かで呼び出し音が途切れ、ほんの少しの無音状態の後、いつもより低い志信の声が聞こえた。
「…もしもし。」
「志信、ごめんね。」
「…起きたの?」
「うん、今さっき。」
「そう…。ずっと忙しかったから疲れてたんだろ。」
「今からでも…。」
今からでも会おうと言いかけた薫の言葉を、志信が遮る。
「もう今日は無理して会わなくていい。明日からまた仕事なんだし。」
感情のないような無機質な志信の声が、薫の耳に冷たく響いた。
「志信、ごめん…。久しぶりに会ったのに、ホントにごめんね…。」
「もういい…。じゃあね。」
薫が返事をする前に、志信は電話を切ってしまった。
薫は呆然とスマホ画面に映る“通話終了”の文字を眺めた。
(志信、ものすごく怒ってた…。怒って当たり前だよね…。)
山手通りSSのヘルプに行っている間、週末も一緒に過ごせず、毎日帰りが遅くてずっと会えなかった。
夕べは久しぶりに会えたのに、ずっと会いたかったと言ってくれた志信を待たせた挙げ句、長い時間ほったらかしにしてしまった。
(またやっちゃった…。)
仕事の事になるとつい必死になりすぎて、その他の事が何も見えなくなってしまう。
今日はもう会わなくていいと志信は言ったけれど、やっぱりこのままでは志信に申し訳ない。
せめて会って直接謝ろうと、薫は急いで身仕度を整えて家を出た。



